Naigaijosei March 12, 2002

日本経済は重症の血液循環病患者

 グレゴリー・ クラーク 多摩大学名誉学長


 日本の経済論争を開いていると、重症の血液循環病患者の治療を任された未熟な医者が思い浮かぶ。患者には絶えざる輸血が必要だ。患者は足にひどいむくみもきている。

 ところが医者はまず、輸血しても元の病気が治らないから輸血は中止すべきだと宣言。患者が昏睡状態に陥って床に転げ落ちたので、医者はむくんだ足を即刻切断しなければならないと命令。病人は軋もなく死んでしまった。

 日本経済はこの患者によく似ている。日本経済の基本的な問題点は、消費者の非常に高い貯蓄性向による慢性的な需要不足である。

 1970年以前では、この貯蓄は良いものだった。需要はベーシックであり、迅速に満たされた。循環は好調だった。だがそれ以後日本では、さまざまな理由から、ライフスタイル需要、例えば−セカンドハウス、セカンドカー、高級バカンスなど、他の先進国需要を支えているものへの切り替えが行われなかった。日本の″血液循環″は危険なまでに低位になつた。

 日本は20年間も、輸出超過と株・土地ブームからくる″輸血″スタイルの需要に頼って問題を回避してきた。その結果が円高であり、バブル崩壊だった。とはいえ、90年代初期しばらくは、赤字財政という形の輸血のおかげで、不良債権という名の足のむくみは、急速に解消しっつあった。

 ところが97年、橋本というドクターは輸血用″血液″が底を突くから輸血は中止すべきだと言った。 患者はすぐ意識不明になり、足はまたむくみ始めた。

 小渕、森両ドクターによる、公共支出の増加という″輸血″ のおかげで、患者は一時的には回復した。しかし小泉という、もう一人、輸血に反対するドクターが″構造改茎丁″という多種の栄養ドリンクで問題解決だ、と宣言。経済が再び昏睡状態に陥ったとき、竹中という初心な若医者が呼ばれ、むくんだ足を即刻切断しなければならないという。

 患者が死ぬ前に、この経済を救うために、二つのアクションが緊急に必要だろう。一つ、血液循環を蘇生させるためのショック療法として10兆円以上の補正予算。二つ、新しい消費者需要を促がす大幅な規制凄和だ。


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